災害時には電話回線が混雑し、大切な人との連絡が取れなくなることがあります。そんな時に頼りになるのが災害用伝言サービスです。
本記事では、災害用伝言ダイヤル171、web171、携帯電話の災害用伝言板の3つの主要サービスについて、具体的な使い方から効果的な活用法まで詳しく解説します。いざという時に慌てないよう、事前に操作方法を把握しておきましょう。
災害用伝言サービスとは何か
災害用伝言サービスは、大規模災害時に安否確認や連絡手段として提供される公共サービスです。通常の電話回線が混雑して繋がりにくい状況でも、比較的安定して利用できるよう設計されています。
災害時における通信の重要性
大規模な地震や台風などの災害が発生すると、多くの人が同時に安否確認の電話をかけるため、通常の電話回線は大変混雑します。この現象を「輻輳(ふくそう)」と呼び、電話が繋がりにくくなる主な原因となります。
災害用伝言サービスは、このような通信障害時でも家族や友人との連絡手段を確保するために開発された重要なライフラインです。
主要な3つのサービスの特徴
サービス名 | 利用機器 | 特徴 | 利用料金 |
---|---|---|---|
災害用伝言ダイヤル171 | 固定電話・携帯電話 | 音声での伝言録音・再生 | 通話料のみ |
web171 | パソコン・スマートフォン | インターネット経由でテキスト・音声 | 無料 |
災害用伝言板 | 携帯電話・スマートフォン | キャリア各社が提供するサービス | 無料 |
災害用伝言ダイヤル171の使い方
災害用伝言ダイヤル171は、NTT東日本・西日本が提供する音声による伝言サービスです。震度6弱以上の地震や大規模災害時に自動的に開始されます。
伝言の録音方法
伝言を残すには以下の手順で操作します:
- 「171」をダイヤル
- ガイダンスに従い「1」を押す(録音の場合)
- 被災地の方の電話番号を市外局番から入力
- ガイダンス終了後、伝言を録音(録音時間は約30秒)
- 録音終了後「9」を押して伝言を保存
伝言の再生方法
録音された伝言を聞くには以下の手順です:
- 「171」をダイヤル
- ガイダンスに従い「2」を押す(再生の場合)
- 被災地の方の電話番号を市外局番から入力
- 録音された伝言が自動再生される
固定電話からの利用
固定電話からの利用時は、通常の電話と同様の操作で簡単に利用できます。高齢者の方でも使いやすい設計となっています。
携帯電話からの利用
携帯電話・スマートフォンからも同様の手順で利用可能です。ただし、携帯電話の電話番号を被災地の電話番号として使用する場合は、「090」「080」「070」から始まる11桁の番号を入力します。
web171(インターネット版)の使い方
web171は、インターネットを利用した災害用伝言サービスです。パソコンやスマートフォンのブラウザから利用でき、テキストメッセージや音声ファイルの両方で伝言を残すことができます。
アクセス方法と初期設定
web171を利用するには、以下の手順でアクセスします:
- ブラウザで「https://www.web171.jp/」にアクセス
- 利用規約に同意
- 被災地の電話番号を入力(市外局番から)
- 認証画面で表示された文字を入力
伝言の登録手順
web171での伝言登録は以下の流れです:
- 「伝言の登録」ボタンをクリック
- 伝言の種類を選択(テキスト・音声・画像)
- 伝言内容を入力または録音
- 「登録」ボタンで伝言を保存
伝言の確認手順
登録された伝言を確認するには:
- 「伝言の確認」ボタンをクリック
- 確認したい電話番号を入力
- 登録された伝言が一覧表示される
- 確認したい伝言をクリックして内容を表示
携帯電話・スマートフォンの災害用伝言板
各携帯電話会社が提供する災害用伝言板サービスは、安否情報を登録・確認できる重要なツールです。
NTTドコモの災害用伝言板
ドコモユーザーは「災害用伝言板」アプリまたはiMenuから利用できます。安否情報の登録時には、「無事」「被害あり」「避難中」などの状況を選択し、詳細なメッセージを追加できます。
au・ソフトバンクの災害用伝言板
auでは「災害用伝言板サービス」、ソフトバンクでは「災害用伝言板/災害用音声お届けサービス」として提供されています。基本的な操作方法は各社共通ですが、細かな機能に違いがあります。
各社共通の基本操作
操作 | 手順 |
---|---|
安否情報登録 | アプリ起動→「登録」→状況選択→メッセージ入力→送信 |
安否情報確認 | アプリ起動→「確認」→相手の電話番号入力→検索 |
各サービスの比較と使い分け
災害用伝言サービスは状況に応じて使い分けることが重要です。
音声での詳細な伝言を残したい場合は「171」、インターネット環境がある場合は「web171」、外出先で手軽に安否確認したい場合は「災害用伝言板」といったように、それぞれの特徴を活かした使い方をおすすめします。
利用時の注意点とコツ
災害用伝言サービスを効果的に活用するためには、事前の準備と正しい利用方法の理解が不可欠です。
事前の準備と練習
毎月1日・15日は「体験利用日」として、実際にサービスを試すことができます。家族で事前に練習しておくことで、災害時にスムーズに利用できるようになります。
また、家族間で「どの電話番号をキーにするか」を事前に決めておくことが重要です。一般的には、最も変わりにくい固定電話の番号を使用することが推奨されています。
伝言内容のポイント
効果的な伝言を残すためのポイントは以下の通りです:
- 簡潔で分かりやすい内容にする
- 現在の状況(無事・負傷・避難場所など)を明確に伝える
- 今後の連絡方法や集合場所があれば伝える
- 伝言の録音時間は限られているため、要点を整理してから録音する
まとめ
災害用伝言サービスは、緊急時における重要なコミュニケーション手段です。災害用伝言ダイヤル171、web171、携帯電話の災害用伝言板という3つの主要サービスは、それぞれ異なる特徴と利点を持っています。
いざという時に慌てないよう、普段から家族で利用方法を確認し、体験利用日を活用して操作に慣れておくことが大切です。また、事前に「どの電話番号をキーにするか」を家族で決めておくことで、より効果的に安否確認ができるようになります。
災害は予期せず発生するものですが、適切な準備と知識があれば、大切な人との連絡手段を確保することができます。
なお、詳細な情報や最新の運用状況については、以下の公式サイトでご確認ください:
NTT東日本・災害用伝言ダイヤル171・web171
https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/
NTT西日本・災害用伝言ダイヤル171・web171
https://www.ntt-west.co.jp/dengon/
NTTドコモ・災害用伝言板
https://www.docomo.ne.jp/info/disaster/
au(KDDI)・災害用伝言板
https://www.au.com/mobile/anti-disaster/saigai-dengon/
ソフトバンク・災害用伝言板
https://www.softbank.jp/mobile/service/dengon/